大人の発達障害と向き合う静葉ちゃんの試験室

静葉ちゃんが、適当にいろんなことを書いてますよ。

タグ: 福祉

身体障害者や知的障害者の方々と接してきたことは、若い頃から、そう頻繁でないものの、ありました。
耳の不自由な方、目の不自由な方、下肢や腕が不自由な方といった身体障害者の方々もそうですし、小児麻痺の方も。いろんな障害の方々と出会ったり、話をしたり、ただ見かけるだけだったりもしましたが…
もっとも、私自身が、生まれながらの脳機能障害、つまり発達障害であったとは、思いもしませんでしたけどね。
私自身についての話はともかく、今回は、ふと思ったことをまとめてみます。

ホワイトハンズという団体の存在
ずいぶん以前のこと。
何気なくテレビを見ているときに、障害者の性処理介助、という話題が出ておりまして、そこで、ホワイトハンズという団体と、その活動が紹介されていました。
身体を自由に動かすことができない障害を持つ男性に対して、射精介助を行う、というのが、このホワイトハンズの活動内容となっているわけですが…
変な話、健全な男性であれば、自力で射精できます(´・ω・`)
しかし、自力で射精したくとも、身体をうまく動かすことができないために射精ができず、そのため、性的欲求を満たすことなく我慢し続けるしかない方々も事実としていらっしゃるわけでして。
男性であれば、そうした性的欲求は、射精さえできれば沈静化するのはお分かりになると思うのですが、しかし沈静化させようにも、自力で射精することができない、そのためにストレスを抱えている方々が実際に多くいらっしゃるわけですね。
性に関する話題は、日本社会においても、あまり表に出ることはありません。ですので、そうした、身体に何らかの障害を持つ男性が、その性欲処理ができずにいる、ということすら、ホワイトハンズが紹介されるまで、想像もつかなかったことです。
この、ホワイトハンズという団体は、その、障害者の性介助を福祉の一環として捉えており、その活動区域も広がっています。
ですが、ホワイトハンズ単体だけで捉えると、まだ全国的に活動ができている状態ではありません。このブログを書いている2016年11月26日現在では、四国や九州では一切活動しておりません。…批判しているわけではないので念のため。それだけ、ホワイトハンズの理念に同意し、活動されている方々が少ないんですね。

射精介助はあるけれど…
そして、ホワイトハンズの活動についてですが、その性介助について現在行っていることは、現時点では、射精介助のみ。
つまり、今のところ、男性の性処理に対する介助は、そのフォーマットが出来上がっている一方、女性に対する性欲処理の介助については、まだフォーマット化できていない、ということですね。

男性の性処理の目安は…
なぜ男性の性欲処理に対する介助はフォーマットができているかというと、要するに、解りやすいからでしょう。
だって、射精したらOK、なんだから(´・ω・`)
もちろん、射精に至るまでの工程として、衛生管理(陰部の洗浄など)もありますけれど、ともあれ、射精介助なのだから、射精させるという介助目的を達成することで、その介助の目安が出来ているわけです。
ただ、なんというか…射精介助だけが目的となりますので、雰囲気も何もあったもんじゃない。これは批判しているんじゃなく、やむを得ないって話です。詳細は下記にて。
そもそも、スタッフが行うのは、あくまでも「介助」であって、「性風俗サービス」ではないのだから。
なお、その射精介助に携わっている方々の、その採用条件として、福祉関係の資格が必須となっています。介助の範囲として「射精」を介助しているんですね。

女性の性処理介助がないのは何故?
では何故、男性の性処理介助があるのに、女性の性処理介助がないのか、ということろに話が繋がるわけですけれど…
男性の場合、上記のように、終了の目安が解りやすい。
一方、女性の場合、何をもって終了の目安とするのかが見えてこない。
だって、いわゆる「イク」という状態ってのは、射精と違って目に見えないですし、それに、いつまで続ければいいのかってのも、よくわからない。
つまり、その介助を受けようとする女性本人でなければ、満足して終了するポイントが解らないんですね
そもそも、男性と女性とでは、性的快楽に関する定義が違いますから。
その他、色々と、女性の、性処理の感覚は、とてつもなく複雑で、現在でも関係者が色々と検討をしてはいるものの、結論を出すことができないようです。
このあたりの話は、障害者云々以前に、まず女性の性の快楽や満足などについてのあれこれの話になりますし、そのへんの話を持ち出すときりがなくなりますので、ブログで書くのは避けます。
が、あえてひとことでまとめるならば、「女性の場合は、個人個人全く違うニーズを持っており、同一フォーマットの上での、女性への性処理介助の展開は、事実上不可能」という感じになりますかね。
これは介助に限らず、女性の性的快楽の話として、総合的に言えることでもあります。

申し込む方は少ない?
ここでホワイトハンズの話に戻します。
前述のように、ホワイトハンズでは、男性の射精介助について、一定のフォーマットができています。
特に衛生管理において徹底されていること、いわゆる一般的な性風俗のような行為は一切なく、陰部のマッサージのみ、という感じになっていますね。
ですが、そうしたホワイトハンズの活動があるからといって、実際にそのサービスを受けようと踏み込む方はまだまだ少ない。そりゃそうでしょう、男性だって、そのサービスに初めて申し込もうとする勇気も大変なものですし、実際申し込んでみて、どのような介助スタッフが来るのか不安もある。
つまり、申し込みたいけれど、恥ずかしくて申し込めない、不安で申し込めない、というわけなんですね。
たとえ男性の射精介助だけに限って考えても、潜在的な利用者予備軍は、おそらくかなりの人数になると思います。ですが、その介助に、勇気を振り絞って申し込める方って、どれくらいいるでしょうか。
そして実際にその射精介助を受けても、行われるのは「射精させる」ということだけで、射精はしたものの、性的な満足感については、おそらくは得るのは難しいのではと思うんですよね。でもこれは、「介助」の元で行う事ですので、ある一定の線引きは必要なのだし、そのあたりの妥協は、その利用者も必要なんでしょう。

現状での射精介助の限界
その、射精介助についても、介助であるからこその限界というのもあります。
射精を介助することが目的ではあるものの、それ以外については、一切手を出すことができない。
たとえば、性的欲求を促すために、介助者が性的な言葉を投げかけたり、画像や映像などを用意したりといったことはできないんですね。
要するに、ただ単に、陰部をマッサージすることしかできないわけです。もちろん、気持ちいいかどうか程度の声かけは行うようですが。
なので、射精はできるかもしれないけれど、雰囲気も何もあったもんじゃない、ってわけ。繰り返し言いますけれど、批判しているんじゃないからね、現実を言っているだけだから。
表現がおかしくなるかもだけれど…この射精介助というのは、入浴介助や食事介助と同じ「介助」という立ち位置であって、それを超えることはできない、ってことね。
それと、性的マイノリティについての考慮もまだできていない。と、いうのも、少なくともホワイトハンズで活躍している射精介助スタッフは、全員女性であること、男性の募集は一切行っていないんですね。
男性に射精介助をお願いしたいというのも考えられはしますけれど、おそらく、実際にそうした要望があれば、検討が始まるんじゃないかなあ。

性風俗の利用は?
これは、とある福祉関係の仕事をされている方の意見だけれど、障害者が、性風俗を利用するのは妥当だ、って話。
例えば。
知的障害者が、その性欲の処理の為に強姦をした、なんて話も聞いたりしたけれど、そうした、理性を保ちにくい人が、その性欲処理の為に、性風俗を利用するのは、あり、なんだそうだ。
そもそも、その性欲処理をしてくれる、その性風俗スタッフは、その筋のプロなのだから、仕事として、サービスをしてくれるとかなんとか。それに、性の意識を性風俗に向けることで、いわゆる強姦などの犯罪行為に走るのをある程度抑えることができる、と言ってた。
もっとも、今回話題として取り上げさせてもらったホワイトハンズの利用者は、基本的に、自由に動くことができない人なわけで、知的障害者とはまた違うんですけど。
それと、身体が不自由な方の場合、その性風俗を利用するために、わざわざ支援者等に送迎してもらわなきゃならん。
他にも、色々と細かいところで問題も出ると思う。たとえば、年齢制限とかもそうだし、障害者と一言で表現しても、その障害の程度はケースバイケースだし。
特に、思春期を迎えた障害者の、その性欲のはけ口なんてのは、どうしたもんでしょうね。
んでもまあ、ホワイトハンズのサービスを利用できる方々だけに的を絞ると、射精介助と性風俗の、二つの選択肢があるってだけでも、かなり違うんじゃなかろうか。

法律や世論などとの兼ね合いも…
もちろん、法律による制限もありますよね。売春防止法なんてのもそのひとつでしょう。
それに、ものがデリケートな性の問題です。そんなものは必要ないと、心ない外部の人達からの執拗な批判も受けることもあるでしょうし、もちろん、表立って話題になるようなこともほとんどない。ホワイトハンズが地上波で紹介されたことそのものは、とてつもなく画期的な事であったはずです。
ですが、ニーズがあり、それに応えることができるような、もちろんある一定の限界はあるとした上で、そうした、性処理に悩む障害者の方々への理解は必要だと私は考えます。
ただ、どのような障害であれ、実際の需要は、人それぞれ色々と異なります。そうした違いも配慮した上で、男性女性問わず、性欲の処理に関する福祉を充実させていくようになるのを期待します。

私自身は、そうした方々への支援を行うことそのものはできませんが。知識も資格もありませんし。それに私も、この問題に対しては、一応、部外者です。
んでも、こうして、ブログに、話題として提供するくらいは、ね。


https://www.youtube.com/watch?v=QjaGvsinM4M


(このブログは、施設でまず原稿を執筆した上公開、後に各種資料のリンクなどを掲載します。この記事の改定まで、しばらく猶予をいただくことをご了承ください)

発達障害者支援法が改定され、ある程度の日時が流れました。
この、発達障害者支援法は、現在の日本国内の法律の中で、唯一、発達障害者の為だけに作られた法律です
もちろん、発達障害者の為の法律は、この、発達障害者支援法だけでなく、様々な障害者のための法律や制度も、発達障害者は利用する事ができます。
このあたりは、また日を改めて、動画及び、このブログでお伝えできればと考えています。

改訂後の現状は?
さて、改定されてから、ある程度の月日が流れていること、かつ、この法律は、改定されて3ヶ月以内に効力を発揮する、ということで、実際に、この法律が改定されたあと、発達障害者に対して、どのようなサービスを新たに受けることができるのか、という部分についてなのですが…
実のところ、まだ具体的に、何がどうなるかは、決まっていません
と、いうのも、確かにこの法律は、施行されてから3ヶ月以内に効力を発揮することが目行きされているのですが、しかしながら、実際にこの法律を運用していくのは、各都道府県及び地方自治体ですし、また法律ができたからといって、その法律を運用するための基盤は、法律が公布されてから作られていくものです。
ですので、この改定された法律は、2016年8月9日現在、事実上機能していないと言えます。これは制度の運用上、やむを得ないことなんですね。
そして、前述のように、この法律を実際に運用するのは、各都道府県及び地方自治体に任されている、言い換えると、各都道府県で、この法律を元にした福祉制度が細かな点で異なる、ということができます。

徳島県では、どうなるのか
上記のように、この法律が、どのように運用されていくのかは、各都道府県で違いがあります。
根幹については、おそらく厚生労働省や文部科学省などが中心となって決めていくのでしょうけれど、法律の運用そのものは、地方自治体に任されています。
徳島県の場合、発達障害者支援センターを徳島県が運営し、市町村は、基本的に、すべてそちらに丸投げ、という感じになっています。要するに、市町村単位で、発達障害者支援法に基づいたサービスを行うのは、それだけ困難、といえるわけですね。ただし、その他障害者福祉は、市町村単位でも行っておりますし、その福祉サービスの対象者には、発達障害者も含まれます(これは発達障害者福祉に関するかなり重要なポイントなのですが、ここでは述べません)。
また、先日、この法律を元に、徳島では、具体的にどのような福祉支援が始まるのかについて、ひとつきまえに問い合わせたところ、まだ具体的に、改定された法律を元とする事業は立ち上げていない、とのこと。これはもちろん、施行されてからまだ間が無い事もあり、その準備を行うことができていないことを意味するのですが、ですが来年度から、いくつか新しく事業を始める、とのことでした。

今回の改定で、どのようなサービスが増えるか?
これからも、この法律は、まだ研究が始まったばかりで解らないことだらけの発達障害について、現在までの研究結果を基に施行されたものなのですが…

ここからは、おそらく、こうなるのではないか、という、法律の改定内容に伴う、私の勝手な想像になることをまずご理解戴いた上で…

まず、発達障害者一人一人に対して、一生涯、恒久的な支援を行うことが盛り込まれています。
おそらく、障害福祉サービスのうち、計画相談支援と似たサービスを受け続けることができるようになるのではと思われます。
計画相談支援とは、様々な福祉サービスを受けるために、具体的に、何をどのように、そうしたサービスを受けるべきなのかを検討する役割を担っており、その計画相談支援を担当する支援相談員が、利用者の要望に対して、どのような福祉サービスを利用するかなど、様々な計画を立てています。もしかすると、この制度をさらに強固にしたものが、発達障害者も受けることができるようになるのやも知れません。
そしてもうひとつ重要な部分が、様々な司法手続きにおいおて、その発達障害者に支援員をつけることができるようになる、というところ。
発達障害者は、総じて、コミュニケーションの応力に何らかの障害があります。そのため、発達障害者の明確な意思を、相手に伝えることができません。
これは、たとえば、裁判の場において、発達障害者が、自らの意思をすべて伝える事ができないことに配慮し、被害者、加害者どちらの立場になるかはさておき、そうした司法判断が求められる場において、その発言の手助けをする専門の代理人を立てることができる、という感じに捉えています。この代理人とは、弁護士をさしているわけではありません。
こうして、発達障害者に、意思の疎通を円滑に行う為の代理人、あるいは代弁者を設けることで、意思の疎通のすれ違いによる間違った司法判断を可能な限り避けるようにする、と考えるといいでしょう。
その他、行政の手続きにおいても、その発達障害者に特化した代理人を設けることで、手続きを円滑かつ明確に行うことができるようになるのでは、と期待しています。

福祉の現場から聞こえる声…
これは余談になりますが。
この法律の改定を元に、あらたに、発達障害者向けのサービスが充実していくことに、そのサービスを受ける側の私達は期待してはいます。
一方で、こうしたサービスが増えるということは、そのサービスに従事する福祉職員を増強しなければならないことを意味しています。
そもそも、発達障害に限らず、様々な福祉サービスに従事する職員の数がまだまだ少なく、その理由として、いわゆる3Kの業務内容であること。特に、福祉分野の、専門の学問を修めても、その対価に相応しいだけの給与をいただくことができない、という声もあります。
これは、もともと、国がその福祉サービスを提供するための予算上限を定めており、その予算上限が低いことが理由として挙げられます。
また、身体障害者よりも、知的、精神、発達それぞれの障害者と接するのは非常に難しい。そもそも思考特性に違いがあるため、健常者と同じように接するのが困難だったりしもします。
そうした点も踏まえ、発達障害を専門とする福祉担当者の拡充も急務なのですが、そうした人材の確保が、予算も、そして根本的な人材の確保も難しい、ということのようでして、国を挙げての、発達障害を含む各障害の福祉支援に携わる人材の育成及び確保を検討して欲しいところですね。

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