大人の発達障害と向き合う静葉ちゃんの試験室

静葉ちゃんが、適当にいろんなことを書いてますよ。

タグ: 発達障害者支援法

(このブログは、施設でまず原稿を執筆した上公開、後に各種資料のリンクなどを掲載します。この記事の改定まで、しばらく猶予をいただくことをご了承ください)

発達障害者支援法が改定され、ある程度の日時が流れました。
この、発達障害者支援法は、現在の日本国内の法律の中で、唯一、発達障害者の為だけに作られた法律です
もちろん、発達障害者の為の法律は、この、発達障害者支援法だけでなく、様々な障害者のための法律や制度も、発達障害者は利用する事ができます。
このあたりは、また日を改めて、動画及び、このブログでお伝えできればと考えています。

改訂後の現状は?
さて、改定されてから、ある程度の月日が流れていること、かつ、この法律は、改定されて3ヶ月以内に効力を発揮する、ということで、実際に、この法律が改定されたあと、発達障害者に対して、どのようなサービスを新たに受けることができるのか、という部分についてなのですが…
実のところ、まだ具体的に、何がどうなるかは、決まっていません
と、いうのも、確かにこの法律は、施行されてから3ヶ月以内に効力を発揮することが目行きされているのですが、しかしながら、実際にこの法律を運用していくのは、各都道府県及び地方自治体ですし、また法律ができたからといって、その法律を運用するための基盤は、法律が公布されてから作られていくものです。
ですので、この改定された法律は、2016年8月9日現在、事実上機能していないと言えます。これは制度の運用上、やむを得ないことなんですね。
そして、前述のように、この法律を実際に運用するのは、各都道府県及び地方自治体に任されている、言い換えると、各都道府県で、この法律を元にした福祉制度が細かな点で異なる、ということができます。

徳島県では、どうなるのか
上記のように、この法律が、どのように運用されていくのかは、各都道府県で違いがあります。
根幹については、おそらく厚生労働省や文部科学省などが中心となって決めていくのでしょうけれど、法律の運用そのものは、地方自治体に任されています。
徳島県の場合、発達障害者支援センターを徳島県が運営し、市町村は、基本的に、すべてそちらに丸投げ、という感じになっています。要するに、市町村単位で、発達障害者支援法に基づいたサービスを行うのは、それだけ困難、といえるわけですね。ただし、その他障害者福祉は、市町村単位でも行っておりますし、その福祉サービスの対象者には、発達障害者も含まれます(これは発達障害者福祉に関するかなり重要なポイントなのですが、ここでは述べません)。
また、先日、この法律を元に、徳島では、具体的にどのような福祉支援が始まるのかについて、ひとつきまえに問い合わせたところ、まだ具体的に、改定された法律を元とする事業は立ち上げていない、とのこと。これはもちろん、施行されてからまだ間が無い事もあり、その準備を行うことができていないことを意味するのですが、ですが来年度から、いくつか新しく事業を始める、とのことでした。

今回の改定で、どのようなサービスが増えるか?
これからも、この法律は、まだ研究が始まったばかりで解らないことだらけの発達障害について、現在までの研究結果を基に施行されたものなのですが…

ここからは、おそらく、こうなるのではないか、という、法律の改定内容に伴う、私の勝手な想像になることをまずご理解戴いた上で…

まず、発達障害者一人一人に対して、一生涯、恒久的な支援を行うことが盛り込まれています。
おそらく、障害福祉サービスのうち、計画相談支援と似たサービスを受け続けることができるようになるのではと思われます。
計画相談支援とは、様々な福祉サービスを受けるために、具体的に、何をどのように、そうしたサービスを受けるべきなのかを検討する役割を担っており、その計画相談支援を担当する支援相談員が、利用者の要望に対して、どのような福祉サービスを利用するかなど、様々な計画を立てています。もしかすると、この制度をさらに強固にしたものが、発達障害者も受けることができるようになるのやも知れません。
そしてもうひとつ重要な部分が、様々な司法手続きにおいおて、その発達障害者に支援員をつけることができるようになる、というところ。
発達障害者は、総じて、コミュニケーションの応力に何らかの障害があります。そのため、発達障害者の明確な意思を、相手に伝えることができません。
これは、たとえば、裁判の場において、発達障害者が、自らの意思をすべて伝える事ができないことに配慮し、被害者、加害者どちらの立場になるかはさておき、そうした司法判断が求められる場において、その発言の手助けをする専門の代理人を立てることができる、という感じに捉えています。この代理人とは、弁護士をさしているわけではありません。
こうして、発達障害者に、意思の疎通を円滑に行う為の代理人、あるいは代弁者を設けることで、意思の疎通のすれ違いによる間違った司法判断を可能な限り避けるようにする、と考えるといいでしょう。
その他、行政の手続きにおいても、その発達障害者に特化した代理人を設けることで、手続きを円滑かつ明確に行うことができるようになるのでは、と期待しています。

福祉の現場から聞こえる声…
これは余談になりますが。
この法律の改定を元に、あらたに、発達障害者向けのサービスが充実していくことに、そのサービスを受ける側の私達は期待してはいます。
一方で、こうしたサービスが増えるということは、そのサービスに従事する福祉職員を増強しなければならないことを意味しています。
そもそも、発達障害に限らず、様々な福祉サービスに従事する職員の数がまだまだ少なく、その理由として、いわゆる3Kの業務内容であること。特に、福祉分野の、専門の学問を修めても、その対価に相応しいだけの給与をいただくことができない、という声もあります。
これは、もともと、国がその福祉サービスを提供するための予算上限を定めており、その予算上限が低いことが理由として挙げられます。
また、身体障害者よりも、知的、精神、発達それぞれの障害者と接するのは非常に難しい。そもそも思考特性に違いがあるため、健常者と同じように接するのが困難だったりしもします。
そうした点も踏まえ、発達障害を専門とする福祉担当者の拡充も急務なのですが、そうした人材の確保が、予算も、そして根本的な人材の確保も難しい、ということのようでして、国を挙げての、発達障害を含む各障害の福祉支援に携わる人材の育成及び確保を検討して欲しいところですね。

発達障害者のための法律

前回の、「発達障害って何?」って動画は、台詞をその都度考え、棒読みちゃんから音声データを出力し、PowerDirector(動画編集ソフト)に貼り付け…ってのを繰り返して作りました。
なので、編集プランとかそんなものは一切なし。行き当たりばったりで動画を作っていったもんだから、ともかく文章がおかしい。
これではいけないってことで、あらかじめ、台詞なんぞをすべて書き起こし、音声として出力し編集する、という方法を今回は取ることにして、出来上がった動画が、こちら。

Youtube版 → https://youtu.be/v1vN0V_gTws
ニコ動版 → http://www.nicovideo.jp/watch/sm28667279

ってなわけで、今回は、「発達障害者支援法」という法律があること、そして、その法律の目的や意図について、簡潔に解説してみました。
とはいえ、法律文を、あえてそのまま掲載してたりして、動画の時間も10分足らずくらいの長さになったこともあり、また、この法律に絡めた個人的な話も入れたりしたもんだから、聞く側からすると疲れるかなあ、とも思ったりもするのですが、自分なりに、他の方々に、正確に理解していただくために色々と工夫もしているつもりです。
なお、動画の文中にも書きましたが、この動画の台詞を編集するのに2時間を費やしている一方、実際の動画編集には、さらに5時間使用しています。…正直疲れた(´・ω・`)

なお、この動画を製作するにあたり、どのような資料を使用したのかを挙げておきます。



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徳島県が主催する、発達障害の啓発イベントが開催されます。
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詳細及びパンフレットのPDFファイルなどは、とくしま発達障がい総合サイト内の、お知らせをご参照ください。
私自身は、このイベントに参加することは難しそうです。
ちなみに、映画「ぼくはうみがみたくなりました」が、無料で視聴可能とのことだそうです。

ちなみに、世界自閉症啓発デーというのがあるそうでして、こちらは、日本国ではなく、国連が定めているものだそうです。
この啓発デーを受け、日本各地で、自閉症、発達障害を知ってもらおうとするイベントが開催されるわけですが、なぜ地方自治体である徳島県が、こうしたイベントを開催するかというと、その理由のひとつに、発達障害者支援法という法律が制定されていることが挙げられます。
こうした法律を制定し、支援する必要があるほど、発達障害ってのは、根の深い障害なのですが、しかしながら、発達障害という言葉そのものは普及しているものの、実際にどのような障害なのかについては、まだ知らない方も多い。そのため、国及び地方自治体、地方公共団体の責務として、こうした啓蒙活動も行っているわけです。
(国及び地方公共団体の責務)
第三条  国及び地方公共団体は、発達障害者の心理機能の適正な発達及び円滑な社会生活の促進のために発達障害の症状の発現後できるだけ早期に発達支援を行うことが特に重要であることにかんがみ、発達障害の早期発見のため必要な措置を講じるものとする。
2  国及び地方公共団体は、発達障害児に対し、発達障害の症状の発現後できるだけ早期に、その者の状況に応じて適切に、就学前の発達支援、学校における発達支援その他の発達支援が行われるとともに、発達障害者に対する就労、地域における生活等に関する支援及び発達障害者の家族に対する支援が行われるよう、必要な措置を講じるものとする。
3  発達障害者の支援等の施策が講じられるに当たっては、発達障害者及び発達障害児の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)の意思ができる限り尊重されなければならないものとする。
4  国及び地方公共団体は、発達障害者の支援等の施策を講じるに当たっては、医療、保健、福祉、教育及び労働に関する業務を担当する部局の相互の緊密な連携を確保するとともに、犯罪等により発達障害者が被害を受けること等を防止するため、これらの部局と消費生活に関する業務を担当する部局その他の関係機関との必要な協力体制の整備を行うものとする。
(国民の責務)
第四条  国民は、発達障害者の福祉について理解を深めるとともに、社会連帯の理念に基づき、発達障害者が社会経済活動に参加しようとする努力に対し、協力するように努めなければならない。
上記は、発達障害者支援法が定めている、国、地方自治体、そして国民に対する責務が書かれている部分なのですが、言い方を変えると、こうした法律を制定しなければならないその意味付けが、私自身が診断が下った当初気軽に考えていたその考えをどん底に突き落とした、私自身が置かれている現実の認識に繋がっていってるわけです。いやもう事実確認ってのは、怖いもんですね。
この法律については、現在開催されている第190回国会内で改定されるような話が出ております。今のところ、まだ具体的に法案として国会内で議論されたという動きは見えないようですけれど…
国会も、ネットを利用した便利なものを用意してくれておりまして、国会答弁中に、「発達障害」という言葉が出てきた議事録をすぐ取り出すことができるようになっています。
そして、この検索システムを利用したところ、この発達障害について、何らかの形で言葉に出たことが一度もない通常国会は無いっぽいですね。もちろん、その言葉が、どのタイミングで出てくるかは、それぞれではありますけれど、実際に国会内で、何がどのように話されているのか、こうして文書として見てみるのも、けっこう面白いものです、はい。


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