以前飼ってた犬…といっても、正確には私ではなく私の家族が飼っていて、そいつら2匹は当時の母の家で暮らしていた。
1匹は紀州犬の雑種で、体毛がほぼ真っ白な犬。こちらは先に亡くなった。
もう1匹は、その紀州犬の雑種の犬をもらうことが決まっていたときに、その犬を引き取る前に捨て犬を拾ってきた。
両方ともオスで、主人の取り合いで焼き餅焼いて喧嘩したりもしていたんだけれど…まあそれはともかく。

犬を始めとするペットは、しゃべることがあるんだよね。

紀州犬の雑種のほうは、一度もしゃべったことはなかったんだけれど、もう1匹の雑種、おそらく狼犬の血を引いていたと思う、ともあれそいつは、今まで3度、しゃべったことがある。
しゃべったといっても、実際にしゃべったわけじゃなく、テレパシーをとばしてきた、というのが正確だね。
それが、いままで3回あった。

1回目は、「お外行きたい」。
部屋の中で過ごしていたときに、ふいにそのような言葉が頭の中に流れてきた。そのときに犬がこっちを見ていたんだけれど、まあとりあえず、勝手口をあけてやると、実際に犬が外に出て、小屋の近くにおいてあった水入れに向かって水を飲み、また部屋にかえってきた。
これが1回目。

2回目が、「お水飲みたい」。
その言葉が聞こえてきたときに、実際に水入れに水がなかったので、水をいれてやると飲み始めたりする。

そして3回目が「帰る!!」
晩年、フィラリアに感染しおなかに水がたまってしまっており、定期的に動物病院につれていき、おなかに針を刺して水を抜かなきゃいけなかったんだけれど、それに私が付き合ったときのこと。
ケージを診察室の扉のところにおいておき、診察台に乗っけて水を抜いてもらっていた。
そのときも、腹水が2リットルくらいでていたんじゃないだろうか。
水を抜いているときは非常におとなしく、じっとしているわけだけれど…
水を抜き終わり、獣医が針を抜いたらいきなり「帰る!!」と声が聞こえ、診察台を自分で降りてケージに自ら入っていったりする。

で、まあ、そのあと犬が死んで、私だけで看取ってやったわけだけれど…
それからかなり時間が経過して、時折そうやって犬が3度しゃべったことを時折思い出していたわけだけれど…
そしたら、最近になって、実はもう1回しゃべったことがあることを思い出したりする。

「いいもーん、ここにいるもーん」
うちの親の家にいたときに、冷蔵庫の前で犬がぺたんと伏せしてくつろいでいたときに、うちの母が冷蔵庫から何かを取り出そうとしたときに…実際には上の扉からものを取り出そうとしていたんだけれど、そのとき、親が「ノラ、そこにいたら邪魔」と言って、私が「リューク、おまえ邪魔って言われてるぞ」と言うと、「いいもーん、ここにいるもーん」って聞こえてきた。
犬の名前については、私がリュークと名付けた。この名前は、とあるファンタジー小説のエルフのャラクターから取った名前でこっちが本名なんだけれど、うちの親は野良犬だからノラと呼んでた。犬を拾った本人のくせにひどい親ではあるが、ともあれ、そのように声が聞こえてきたってわけ。
それをつい最近思い出したりする。

ところで。
この、計4回しゃべったわけだけれど、…しゃべったというよりテレパシーを飛ばしてきたわけわけれど、その、テレパシーを飛ばしてきたのは、いずれも晩年になってから。
にもかかわらず、その声のイメージが…直接耳で聴いたわけじゃないので声のイメージということになるんだけれど、その声色が、いずれも10歳前後の、声変わりしていない子供の声だったりする。思いで補正もあるかもしれないけれど。

まあ、犬のほうも、リュークはけっこう頭がよかったみたいで、人間の言ってることはだいたい理解してたみたい。散歩中は言うことあまり聞かなかったけれど。

で、その、犬の聞こえたことが、実は最近になって私に大きな影響がでていることが解ってきた。
そのあたりの話については、いずれ、また。