ドウモ( ・∀・)っ旦
私と万年筆との付き合いは案外長く、私が記憶を失った23歳以前から。おそらく20歳ごろからなんじゃないかなあ。
偶然にも、記憶を失う前からお付き合いさせていただいてた小村さんのサポートもあり、筆記具を通して物の価値ってのが解るようになったって感じ。
もっとも、その小村さんが他界して以降、万年筆は、プレピーを2本購入したこと以外は一切買ってない。今使用しているデュオフォールドに強い思い入れもあるし、それに実用的な筆記具は一通り手に入れているもんだから、それ以上必要ないよね、って思ってる。
正直言えばコレクションしたいって気もありはするんだけれど、んでも私の場合は、見た目もそうだけれど、重量感や書き心地などを最優先しているから、結果的に、今保有している万年筆で充分満足してる。
ボールペンは、また別だけどね。昨年も1本、実用的なものを買い足したし、先日新たに1本、ずいぶん前に購入していたのを気分転換兼ねて下ろしてみた。
んで、その万年筆を使用する為に必要なのは、もちろんインク。特にボトルインクについては、所有する万年筆以上に保有してたりするんだが(といっても、20個くらい?正確に数えてない)、んでも保存状態が悪いと、ドライアップ、つまりインクが乾燥して干上がってしまい、使えなくなってしまうんだわ。

ドライアップしたPARKER・PENMAN

で、まあ、先日、気分転換兼ねて、ボトルインクの状態を確認していたんだけれど、私が万年筆を購入するようになった頃に手に入れたボトルインクが出てきた。
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それが、この2本。PARKER・PENMANのサファイアブルーとルビーレッドの2本。
画像じゃ解りにくいんだけれど、写真右側、ルビーレッドは、特にドライアップすることなく問題なしって感じだった。んでもある程度水分が蒸発して、少し色が濃くなっているかもしれない。
問題なのは、画像右側のサファイアブルーで、こちらは完全に干上がってしまっており、使いものにならない状態。
そりゃまあ、使わなくなって15年は放置していたわけだし、干上がってしまっても仕方がないよね、んじゃあもう使えないか、と思っていたんだが…

小村さんから教わった秘技!
そのときになって、小村さんから教えてもらっていたことを思い出した。
いわゆる文豪と呼ばれている人達は、万年筆を使うのはいいけれど、そのインクを購入するための資金を得るのも難しいくらい貧しかったそうだ。
そんな人達が、インクをどのように使っていたかというと…なんと、水で薄めてかさ増ししていたとか!
その話を聞いた後、小村さんを経由したまた別の方から、水増しする程度なら浄水とかじゃなく普通に水道水でOK、とかいう話も思い出したもんだから…

水を入れたら、あっさり復活?!
実際に、水を入れてみたら、ほんとうにあっさりと復活しやがった(゚∀゚)
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ついでだから、当時実際にそのインクを使用していたLAMY・サファリ万年筆を引っ張り出してきてインクをコンバータで吸わせて、書いてみた結果がこちら。
水を入れた量がやや多かったせいもあり、思い出補正もあるがやや薄くなっているとは思う。んでも発色は抜群にいいかな、って感じだね。
某所からは、「魔物を復活させるな」とかいうコメントを頂いたりもしていたけど。
その、干上がってインクの成分が固着していたわけだし、ただ水を入れるだけじゃ復活しないんじゃないかと思ってたんだけれど、水を入れただけで、たいして工夫することもなく、そのインクの成分が沈殿しているとかそんなことは一切なく、あっさりと、ほぼ当時の鮮明な色が復活したもんで、ちと拍子抜けだったりする。

このインクの余談
さてさて。ちとこのインクにまつわる話を少しばかり。
PARKER社のインクはそのブランドとしてQuinkってのを昔から使用しているんだけれど、それが20年ほど前まで、インクの高級ブランドとしてPenmanってのを出していたんだ。
当時のQuinkのボトルインクが、記憶違いでなければ600円、それに対してPenmanのボトルインクが800円だったと思う。もう少し高かったっけか?
ボトルインクだけじゃなく、ボールペンインクも、QuinkとPenmanの2つが用意されていた。
それが、PARKER社そのものが売却され、合理化の流れでPenmanブランドが消滅。一時、ブラックインクだけ復活したことはあるんだけれど、現在では販売されていない。
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この空っぽのボトルインクは、復刻したPenmanのボトルインク。当時のボトルインクが底が円形だったのに対し、復刻したボトルインクは楕円形だった。
なので、現状、Penmanインクが、それも新品で、最高の状態で手に入ることはないと思うし、現状では確かにレアなインクとなっているんだけれど…
んでも、今は、特に国内メーカーが多種多様なインクを出しているし、むしろそっちのほうが発色がいいのかも知れない。顔料インクも出てきているからね。
ちなみに、同じブルー系のインクなら、手元にペリカンのブルーもあるんだけれど、こっちはなんか好みじゃないかなあ。


余と万年筆
夏目 漱石
2012-09-13